特徴非保存の法則

「2次元はかわいい!」というようなことを思う人は、近年本当に増えてきており、実物やビデオよりもイラストやアニメーションなどに心惹かれることが多くなっています。

また,「2次元に行きたい!」「画面から出てきて」などと行った、いわゆる射影や展開を多次元にまで求める人もいるようです。以前にお話しした「2次元上の彼女を積分できるか?」のお話を覚えている方なら、この次元軸に時間を含めてはならないことはすぐにお分かりいただけるでしょう。


今回お話しますのは、この次元上の

射影(実物をイラストへ)と展開(イラストを実物へ)の間に存在する、

見た目の変化に関するお話です。「特徴非保存の法則」とでもいいましょうか。


例えば、次元として「鼻の高さh」「鼻の大きさd」を考えてみましょう。

私たちが思い浮かべる≪∀キャラクター∈dim(2)≫をこの次元空間に当てはめてみます。

この鼻に関するデータの中で、もっともよい点はどこでしょうか。

よい点というのは、「もっとも綺麗に見える」などのような、勝手な解釈で

かまいません。状況によってかわります。

例えば、それが h = 40, d = 8 だったと仮定しましょう。

そしてキャラクターXが存在する(特徴を持っている)、ある点(x,y)を考えます。

この2点の距離は√((s(h-40))^2+(t(d-8))^2)となります。

ここでのsとtは係数です。40という数字が、本当に大きい数字なのかという、

誤差のサイズを決めるための数で、常に正です。


ではここでこのキャラクターを3次元に展開することができたとしましょう。

このキャラクターXが存在する(特徴を持っている)、ある点(x,y,z)を考えます。

同時に、もっともよい点というものが、h = 40, d = 8, z = Z0(定数)へと変化します。

この2点の距離は√((v(z-Z0))^2+((s(h-40))^2+(t(d-8))^2)となります。

sとtに加えてvという係数を用いました。もちろん正です。

何が言いたいかと言うと、明らかに

√((v(z-Z0))^2+((s(h-40))^2+(t(d-8))^2)≧√((s(h-40))^2+(t(d-8))^2)

だということです。3次元に展開すると、より

評価される特徴が増えてしまい、それが最も良い点からの距離を

引き延ばしている、という考え方です。

2次元面にはなかった特徴が付加され、逆を行うときには

3次元面にしかなかった特徴が破棄されます。まさに、特徴非保存です。

3次元のモデルなどが2次元に対して評価されない原因のひとつとして、

次元数が多い分、求められるものが多い、ということがあります。



それもそのはず、考えてみてください。


白黒で書かれた絵が評価されていたのに、もしそれをカラフルに色つけしようとしたら、

それは「どの色をどのように使うか」が評価されはじめ、より完璧な絵に

たどり着くことが難しくなってしまいます。(色を追加すると次元が2つ増える)


いままで最も値段の安いものを買っていたのに、もし安くて効果の高い商品を選ぼうと

したなら、それは「安さと効果からなる合成関数」が評価されはじめ、

より「もっとも妥当な」商品へたどり着くのが難しくなってしまいます。

(合成関数は2つの引数をもっているので2次元、曲線や円に近い)


しかしながら、この理論には間違いがあります。先日ほど

スカイプでこの議論を繰り広げていたのですが、S.Rumboさんという方から

とてもクリティカルな表現を頂きました。要約すると、

新しい道は古い道を変えるだろう

ということでした。


例として挙げられますのは「もっともよい点が次元数に近い点」という場合です。

2次元では(2,2)ですが、3次元では(2,2,3)とはならず、(3,3,3)となります

このように、新しい次元が追加されたからといって、いままで最も適切だったものが

急に適切でなくなる、ということが存在する、という批判でした。


たしかにその通りです。「白黒で書かれた絵が評価されていたのに、もしそれをカラフルに色つけしようとしたら・・・」を思い出してください。それは白黒で書いたからこそ成り立っていた良さであり、色を追加して良くなるとは限らないでしょう。

雪舟が書いた絵をカラフルに色つけして、それが良くなることがあるでしょうか。

水墨画としてみれば、色を付けた時点でもう破門です。墨汁に色なんてねえ!!!


うーん、やっぱり新しい等式・不等式を見つけるということは、

それだけ難しいことであり、僕が生半可にできることではないようですね・・・


とりあえず、こんかいはここまでとしましょう。

それでは、さらばっ!!!

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