時が経つのは早いもの
もしかして,もう自分の思考回路はおじいちゃんおばあちゃんになっているのではないだろうか・・・そんなことを考えて夜寝れなくなってしまうことが,4日に1回くらいのペースであります.そしてそのたびに,私はとある自分の発言を思い出すんです.
「おつり はらうの だるくなってきたら 年だよ」
ごく一般的な結論として,やはり老化してしまうと思考能力が低下します.その結果,「おつり面倒だから札出そう」という,単調な行動を取ってしまうのではないか,と推測して,私はこんなことを言ったのです.7年も前の話なんですけどね.時が経つのは早いものです.
しかし,僕はこの発言を高校3年生の,それも一番大切な受験の時に思い出してしまい,かなり深く考察しなおしました.
あの日,コンビニで,私は194円の商品を購入してしまいました.
その瞬間,脳に自分の発言がよみがえるのです.「おつり はらうの だるくなってきたら 年だよ」.サイフの中には4枚の1円玉が存在します.204円を払うことができます.しかし,私は,よく考えた上で,200円を払ったのです.
そして私は「私の脳も高校生にしておっさん化してしまったのか・・・」と悲しくなったと同時に,自宅に早く帰ろうと思いました.帰宅して,最初に持ったのは紙とペンでした.
そう,私は,1円玉を拾うのにかかる時間をxと置いたのです・・・!!!!
そして連立方程式を完成させました.以下にその証明を示します.
(証明1)
自分が硬貨1枚を財布から取り出すのにかかる時間をxとする.
レジ打ちが硬貨1枚を財布から取り出すのにかかる時間をyとする.
また,コンビニはローソンと仮定し,レジ打ちは無能ではないとする.
194円の商品に対して204円を払う場合,
自分がお金を出すのにかかる時間は 6x 秒 となる.
おつりは10円なので,レジ打ちがおつりを出すのに y 秒かかる.
総時間は6x + yである.
194円の商品に対して200円を払う場合,
自分がお金を出すのにかかる時間は 2x 秒 となる.
おつりは6円なので,レジ打ちがおつりを出すのに 2y 秒かかる.
総時間は2x + 2yである.
ここで,204円を出すメリットが発生するためには, 6x +y < 2x + 2y
ここで,200円を出すメリットが発生するためには, 6x +y > 2x + 2y
とならなければならない.ここで,200円を出すのは思考の観点から見ても楽ちんなので,
204円を出したほうが時間が得と仮定する.この時,
(6x + y) < (2x + 2y)
となる.式を展開していくと,
(6x + y) - (2x + 2y) < 0
6x + y - 2x - 2y < 0
6x - 2x + y - 2y < 0
(6x - 2x) + (y - 2y) < 0
x(6 - 2) + y(1 - 2) < 0
x(4) + y(-1) < 0
4x - y < 0
4x < y
となる.この式が意味していることは,
「《私が4枚の硬貨を財布から出す時間》よりも,《レジ打ちが1枚の硬貨を取り出す時間》が大きい」
「《私が4枚の硬貨を出す》よりも,《レジ打ちが1枚の硬貨を出す》ほうが遅い」
となる.これは「レジ打ちが相当な無能」となり,レジ打ちの性能に矛盾する.
よって,204円を出す時間的なメリットは存在しないことが示される.
これにより,204円を出すだけで時間のロスが発生することが分かります.
思考回路の問題ではなく,はっきりと考えたうえで,やはり204円を出すのは無駄である,ということが示せるわけです.
また,204円を出すことによって発生するロスは (4x - y) 秒 となります.
1秒にA円の価値があると仮定してしましょうか.204円を出すだけで A(4x - y) 円の損です.
わかりにくいので,数字を代入してしましょう.
時間には厳しい人間で,1秒にも1円の価値があると考えましょう.よって,A = 1
自分が1枚の硬貨を財布から出すのに1秒しかかからないとしましょう. x = 1
レジ打ちがなかなか有能で,1枚の硬貨を取り出すのが0.5秒だとしましょう. y = 0.5
204円を出すだけで,A(4x - y) = 1(4*1 - 0.5) = 1(3.5) = 3.5円の損ですね.
たったコンビニの買い物ひとつで3.5円の損です.おそろしい.
1年に300回くらいコンビニいく人がいれば,ここだけで1000秒(15分以上)の時間を無駄にしていることにもなります.
考えれば考えるほど,194円の商品に204円を出すことは無駄だということがわかってしまうのです.
さて,これはあくまで様々な仮定をおいた場合の話です.
店員がめっちゃ無能ということもありますし,そもそも現金払いをすることが時間の無駄だということもあるでしょう.1円玉が財布の奥にあればもっと時間がかかるかもしれませんし,そもそも1円玉があることを調べるのにも時間がかかります.我々の脳は,そのような複雑な計算を行い,最終的な結果として,「札でいいや」という発想に至りがち,だということなんです.それは決して,「老化」という簡単な言葉で表されるものではありませんでした.
そうして,1時間にわたる考察の末に結論が出たわけです.私は感動し,自分の行動が間違っていなかったんだと改めて確認しました.
「私は200円を払うことで,3.5秒 得をしたんだな」
その日,受験勉強をする時間は,もうありませんでした.
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