疑似乱数のもたらす"無の確率"
疑似乱数・・・それはとてつもなく乱数に近いが,厳密には乱数ではなく,確定的な列である・・・その疑似乱数はある意味で完璧に確率を再現していることもあれば,確率を全く再現できていない場合がある・・・・
一般的には,線形合同法という乱数があるのを知っているだろうか.これはみなさんにも
めっちゃくちゃ分かりやすい乱数の作り方である.早い話が「掛けて,割って,足す」という簡単な方法で,上手に使うと1→4→6→5→2→3→1→4.....というように,1~n(今回はn = 6)までの数字の周期を1回ずつ,適当な順番で導きだすことができる.すごい.
確率で見るとちゃんとすべての数字が一定確率で出ているし,非常に乱数っぽい.
しかし,この乱数によって完全なランダムが再現されるためにはとても緩い条件が必要となる.これを「原石条件」と呼ぶ.これは私が名付けた.
原石条件は以下の2つの条件から成り立つ.
(定義)1~nまでのある数字を線形合同法の最長周期によって選び出し使用する.これを仮にxとする.そしてこのxを消費するプログラムAが存在し,このプログラムはXに応じてyesかnoを返すと仮定する.
(条件1)xを消費するプログラムAが最大周期kを持つ.
(条件2)xを消費するプログラムAは周期上のk個以上のxに対してyesと答え,それ以外のxに対してnoを返す.
定義で書くと非常に難しいが,考えてみれば非常に単純である.
例えば遊戯王カードを持っている人は,40枚のデッキを作って,39枚をモンスター,1枚を魔法カードにしてデッキを作ってみてほしい.ふたりで交互に「引いては山札の一番下に戻す」というのを繰り返してみると,どうなるか?
もうお分かりのことと思うが,片方のプレイヤーは魔法カードを引くことはない.
これが,原石条件の示すことなのだ.魔法カードを引くというのは,「無の確率」なのだ.
これはデッキを10000枚にしても,100000枚にしても変わらない.デッキの枚数が2で割れる以上,片方のプレイヤーは魔法カードを引くことはない.
5人でやっても一緒だ.デッキの枚数が5で割れる以上,4人のプレイヤーは魔法カードを引くことはない.
あなたは,魔法カードを引ければ勝ち,というゲームをしているとしよう.
「このカードは線形合同法によって乱数になっているから,1枚しかない魔法カードは絶対いつか引けるよ!」と言われたら,どう思うだろうか?
今のあなたはきっと気が付いただろう.見た目は「1/40」であっても,乱数の作り方が固定的である以上は「0/40」,そう,「無の確率」であるのだ.これは,ファミコン期のゲームに始まり,近年行われているソーシャルゲームのガチャにまで影響を与えている.
ソーシャルゲームのガチャで,「5%っていう割には,1%くらいでしかウルトラレアカードを引かないな・・・」といった経験はないだろうか.もちろん,ただ運が悪いということもあるかもしれないが,この原石条件が守られていない場合は,「乱数によりそのうちの4%が無の確率になっている」かもしれない・・・・
それもまた,疑似乱数が君に与えた "運命" であるのだ.
乱数というのが,いかに大切かわかっただろうか.
あなたがパソコンやスマホで信じ込んでいる確率は,もはや,
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