意見の対立と仮想OS
今日は,Twitterでファイナルソードの話をいろんな人として,まあそこそこ盛り上がりました.個人的には嬉しかったですね.何が嬉しかったかというと,みんな自分の意見を言うんだけど,必ずドンドン新しい意見が出てくるのがすごい嬉しかったです.
なんかこう,会話が下手な人と言うか,会話したくないオーラが出てる人と話するとね,「そうですか~」とか「そうか・・・」とかで終わったりすることがめっちゃ多くて,しかもそういう時って全然新しい意見が出ないんですよね.自分が語ってるだけで終わってることが多い.
意見ってすごいよくぶつかることが多くて,それは間違ってるんじゃない的なこともよくあって,そこでなんで割れてるのかなっていうのを追求するのがまあ楽しいといえば楽しいです.でも,それに時間がかかったらね,めんどくさいんですよ.意見が違う.その理由は知りたいけど手短に知りたい.この気持ちこそが,Twitterというたった140文字しか喋れない環境でする議論が楽しい理由だと思っています.
正直,Twitterは最高の環境です.140文字という制約では無駄なことを喋る余裕がない.話し合いに本気で参加したい人ってのは,マジでめっちゃ考えて自分の意見を140文字に収めます.だから,読むほうも洗練された文章だけを読むことができる.すごいです.そんな中でも,意見が対立・矛盾を起こした時に,どうやってそれを解消するのかが本当に問題で,特に今日会話をしてくれた5人の方は皆独自の方法で対話の中に新しい意見を作っていたような気がします.
さて,そうは言っても,対立とは怖いもの.意見が対立したとき,基本的には敵と味方であることに変わりはありません.互いに自分の意見を述べながらも,結局は対立が発生してしまった・・・そんな中,どうやって互いの意見を理解していくのか・・・
今回は,議論を進めて最終的に対立が発生した場合に使える方法を,意見の対立パターンの説明からちょっとだけ解説していきます.
Q. どうして意見は対立するの?
本当に一番最初の疑問「意見が対立する理由」について考えてみましょう.
まず意見ってなんだろうなってところからです.
例えば,「リンゴが好き」って,どういうことなんでしょうか?
リンゴが好きの中には,いろいろな理由があります.
この画像,実はまったく理由はないんですけど,入れてみました.
このように,理由がないことだってあります.
[ 1. 事実 ]
事実とは,【潜在的意見】のことです.例えば,「○○月○日が私の誕生日」「私は~だと思う」「昔交通事故に遭ったから・・・」などが挙げられます.
これらは,経験した事実である場合もありますし,理由もなく好きなものも含まれます.基本的に,事実を批判すること=ほとんど無意味です.
[ 2. 仮定 ]
仮定とは,【覆らないと定義した意見】のことです.例えば,「○○月○日があなたの誕生日なら」「私は~だと思う」「昔交通事故に遭ったなら」などが挙げられます.
事実と異なり,仮定は共有可能です.議論に置いて出発点となります.
[ 3. 論理 ]
論理とは,【意見が導く規則】です.例えば,「○○月○日 が 私の誕生日」「私は~だから~だと思う」「昔交通事故に遭ったから」などが挙げられます.
これらは,自分の事実・仮定に基づくことで新しい意見を導きますが,論理自身は「事実・仮定に依存しない意見」です.
[ 4. 自己解釈 ]
自己解釈は,【事実に論理を適して得られた意見】であり,「理由」がある意見です.事実とは経験などの潜在的意見であり,論理とは自分の規則であるため,「自分の経験から得られた結末」であると言えます.皆さんが普段述べている「私は~だと思う,なぜなら・・・」というのは,基本的に自己解釈を示しています.
そして,私たちが対立し得るものは,その全てなのです.
《1.事実 の対立》
「俺は,予備校に通って合格したから,予備校はいいぞ!」
「俺は,予備校に通っても落ちたから,予備校はクソだ!」
《2.仮定 の対立》
「まず,リンゴが赤いとすると,私は赤い色が苦手だから・・・」
「まず,リンゴが青いとすると,私は赤い色が苦手だけど・・・」
《3.論理 の対立》
「リンゴは苦手だから,リンゴを食べない」
「リンゴは苦手だから,リンゴを食べる」
《4.自己解釈 の対立》
「リンゴは青くて,青色は嫌いだから,リンゴは嫌いだ」
「リンゴは赤くて,赤色は好きだから,リンゴは好きだ」
Q. 意見が対立したら,どうすればいいの?
意見が対立した時,それをどうするかこそ,議論の大事なポイントです.
順に説明していきましょう.
《1.事実の対立》
世界で一番どうにもなりません.これが対立しているときは,絶対に分かり合えません.それでも相手に「それは違うよ」とか言ってる人は,議論じゃなくて文句が言いたいだけです.
では,どうやって解消すればいいのか?
A. 仮想OSを立てる
自分の脳ミソの中に,仮想OSを立ててください.そこに,自分の「1.事実」「3.論理」を全てインストールします.その後,相手の対立している事実を1つインストールしてください.すると,意見は対立しているので,矛盾が発生します.
矛盾が発生しなくなるまで,自分の「1.事実」を任意の数,アンインストールしてください.矛盾が発生しなくなった時,意見は対立していないので,相手の事実を理解することができます.
その後,アンインストールした自分の「事実」を,相手に問うてください.相手がその「事実」を持っていなければ,晴れて相手の意見は成立しています.
【例】
Aさんはリンゴが好きだが,Bさんはリンゴが嫌いだった.
Bさんが言うには「リンゴは青いからリンゴは嫌いだ」と言っていたので,仮想OSを起動して,自分の事実と論理,相手の意見をインストールした.対立している意見として,自分の事実『リンゴは赤い』を削除すると,相手の「リンゴが青いから,リンゴは嫌いだ」は正しかった.そこで,相手に「リンゴは赤いか?」と聞くと,Bさんは「いいえ」と答えた.よって,Bさんの意見は理解できた.
《2. 仮定の対立》
仮定の対立は,議論において最も多いです.そして仮定の対立のほとんどは,相手の仮定についての疑問が解消されていないことが問題です.しかし,仮定は仮定なので,あなたも相手もその仮定をしなければ議論は進みません.
では,どうやって解消すればよいのか?
A. 仮想OSを立てる
自分の脳ミソの中に,仮想OSを立ててください.そこに,自分の「1.事実」「3.論理」を全てインストールします.その後,相手の対立している仮定を1つインストールしてください.すると,意見は対立しているので,矛盾が発生します.
矛盾が発生しなくなるまで,自分の「1.事実」を任意の数,アンインストールしてください.矛盾が発生しなくなった時,意見は対立していないので,相手の事実を理解することができます.
【例】
Aさんはリンゴが好きだが,Bさんはリンゴが嫌いだった.
Bさんが言うには「リンゴが青いとするとリンゴは嫌いだ」と言っていたので,仮想OSを起動して,自分の事実と論理,相手の意見をインストールした.対立している意見として,自分の事実『リンゴは赤い』を削除すると,相手の「リンゴが青いとすると,リンゴは嫌いだ」は理解できた.
《3.論理の対立》
論理の対立が発生する場合は,議論がまだ完全に進んでいない場合が多く,相手の「1.事実」や相手の「3.論理」をまだ数%しか知らない場合が多いです.よって,本来であれば議論を続けることを推奨します.しかし,議論をしようにも,どうしてその論理を持っているのか教えてくれない場合もあります.
では,どうやって解消すればよいのか?
A. 仮想OSを立てる
自分の脳ミソの中に,仮想OSを立ててください.自分の「1.事実」「3.論理」を全てインストールしますが,今回は相手の対立した論理をインストールする必要はありません.
相手の論理と対立している論理と矛盾が発生しなくなるまで,自分の「3.論理」を任意の数,アンインストールしてください.矛盾が発生しなくなった時,相手の意見は理解できます.
その後,アンインストールした自分の「論理」を,相手に問うてください.相手がその「論理」を持っていなければ,晴れて相手の意見は成立しています.
【例】
Aさんはリンゴが好きだが,Bさんはリンゴが嫌いだった.
Bさんが言うには「リンゴは赤いからリンゴは嫌いだ」と言っていたので,仮想OSを起動して,自分の事実と論理,相手の意見をインストールした.対立している意見として,自分の事実『リンゴは赤いからリンゴは好きだ』を削除すると,相手の「リンゴが赤いから,リンゴは嫌いだ」は矛盾しなかった.そこで,相手に「リンゴは赤いからリンゴは好きか?」と聞くと,Bさんは「いいえ」と答えた.よって,Bさんの意見は理解できた.
《4.自己解釈の対立》
自己解釈が対立している場合は,自分の自己解釈について述べてください.もう仮想OSとかいりません.これは議論が進んでいない証拠なので,自分がどうしてその自己解釈を持っているのか説明する必要があります.同様に,相手が議論を続行したい意志を示すならば,自己解釈について話すよう要求することも大事です.
【例】
Aさんはリンゴが好きだが,Bさんはリンゴが嫌いだった.
そこで,Aさんは「私は,リンゴは赤いからリンゴは好きだ」と説明し,Bさんになぜリンゴが嫌いなのかを説明するよう要求した.すると,Bさんは「リンゴは青いから,リンゴは嫌いだ」と述べ,自分の「1.事実」である『リンゴは赤い』と対立した.
( →《1.事実の対立》へ進む )
以上,4つ意見の対立に対する議論の進め方を紹介しました.
基本的に,議論とは,自分の意見・相手の意見を十分に聞き出さないと解決しません.
事実が矛盾した場合は「そうだったのか,実は私はリンゴは赤いと思っていたんだ」と聞いてみると,相手の事実を新しく知って,相手の立場に立つことができます.
仮定が矛盾した場合は「そうだったのか,実は私はリンゴが赤いならば,リンゴは好きだと思っていたんだ」と述べると,たった1つの仮定の違いで議論が解決する可能性もあります.
論理が矛盾した場合は「そうだったのか,実は私はリンゴは赤いから,リンゴは好きだと思っていたんだ」と聞いてみると,リンゴが赤くてそれが好きに繋がらない理由がはっきりするかもしれません.
自己解釈が矛盾した場合は,「そうだったのか,私はリンゴが赤いから好きなんだが,~さんはどうして?」と聞けば,その自己解釈の成り立ちを知ることができます.
何事も,まずは仮想OSです.仮想OSを立てることで,自分の意見と相手の意見が重なり,そこに新しい意見が誕生します.
議論をしたいと思っている皆さん,
いつも頭の中に,仮想OSを立てられるくらいのスペースは開けておきましょう!
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