強烈すぎる言語 : ピダハン語

最近,言語についてのYoutubeの動画を見て爆笑したことがきっかけで,世界のおもしろ言語について調べていました.その中で見つかった「ピダハン語」というのがあまりにも強烈だったので,本日はこれを紹介したいと思います.


みなさん,言語といえば,何があると思いますか?

日本語であれば,「赤」「青」「緑」のように色がありますよね.とはいえ,「群青色」のような難しい色は日本語にあってもほかの言語にはないことがあります.つまり「ある特定の色を表せない言語もある」ことは間違いありません.

では,「色を表せない言語」はあるでしょうか?想像してみてください・・・日本語や英語はもちろん,フランス語,イタリア語,ポルトガル語・・・どこに行っても,何かしらの色はあります.虹を表す色の数も様々です.


ピダハン語は,「色を表せない言語」です.

赤や青は存在せず,「明るい」と「暗い」が色の代わりに使われています.白や黒も表せないようで,昼と夜さえもこの二つが代用されているらしく,とても日本人が想像できる世界ではありません.

「昔,虹の色の数がこの地域では2色しかない~」みたいな笑い話をしていたことを思い出したのですが,あれは「妥当な色がなくて2色」だったのではなく,「妥当な言葉がなくて2色」だったのではないかとふと思いました.なんだか,怖いですよね.生まれが違うだけで,そんなに世界って変わるのかという・・・



では,質問を戻しましょう.何か別の・・・「言語といえばコレがある」といえるもの,何でしょうか?

日本語であれば,「1 , 2 , 3, ... 」のように数がありますよね.「万」や「億」といった代数単位については「thousand / billion」など別の代数単位を用いる言語はありますが,「言語には数字がある」・・・これは,間違えようのない事実だとみなさんは思うかもしれません.


ピダハン語は,「数を表せない言語」です.

ピダハン語を研究したマイケル・フランクさんは,ピダハン語に「1+1」が存在しないことを発見しました.フランクさんはピダハン語の話者たちに,当時キャンプで使っていた10個のバッテリーを1つずつ置いていき,「いくつ?」と聞いていったそうです.彼らは1個のときに「hói」,2個のときに「hoí」,3個のときからは同じことを言ったそうです.「あっ,なら,1はあるのかもしれない」とフランクさんは思ったでしょう.しかし,こんどは10個のバッテリーを1つずつ取り除いていき,「いくつ?」と聞いていきます.すると,6個のときにある話者が「hói」,4個以下のときには全員が「hói」を使いました.hóiは1ではなかったのです.

フランクさんは,彼らは「多い / 少ない」という言い方しか持っていないという結論を出しています.「少ない」にあたる言葉のイントネーションを少しかえて,「少ない」と「すこし少ない」を使い分けており,もっと多いなと思ったときには「多い」を使っていたと考えられています.

とはいえ,この結果はフランクさんにとっては衝撃的だったそうで,「数を表せないのに数の比較はできる」という変な事実を発見してしまったそうです.彼らは「1」という言葉を持っていないにも関わらず,1つ足したり,1つ引いたり,同じかどうか確認することができていました.

4も1も分からないのに,4+1が計算できるでしょうか?ピダハン語の話者たちは,一切数字を知らないのに,計算を理解していたと言うのです.なんだか,怖いですよね.生まれが違うだけで,そんなに世界って変わるのかという・・・


他にもピダハン語は多くの言葉が欠如しており,圧倒的に少ない語数と少ない音素で会話を繰り広げています.東西南北はもちろんのこと,左と右も区別できません.兄と弟も区別できないし,父親と母親も区別できません.しかしそれでも・・・「会話は成り立っている」「社会は成り立っている」・・・それは,間違いありません.


私たちが普段使っている「言葉」というものを,
彼らはより本能的に知っているのかもしれません.


近い将来,これらを解明して,宇宙人とも普遍的に交信できるような時代が来たら,とっても面白いのですが,それはいったいいつになるのでしょうか・・・




いや,宇宙人ってそもそも「しゃべる」のだろうか・・・???



なんだか,怖いですよね.

生まれが違うだけで,そんなに世界って変わるのかという・・・


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