義務教育で習わない「立候補の仕方」 その1

本日は,衆議院議員として立候補するための手順を淡々とまとめます.

早い話が,自分用のメモです.

今のところ,総務省のホームページも含めてどこのサイトにもまとめは載っていない情報だと思います.なので,この内容のパクリが 2021/08/26 以降にネットに上がった場合はだいたいこのサイトのコピペだと思います.

非常に長いので,3つに分けて説明します.

本日説明するのは,「立候補の条件」についてです.


立候補の条件

今回は衆議院選挙に立候補するための条件について説明します.

これから選挙があると思いますから,自分が選挙に参加できるかどうかくらい知っておきたいですよね.

立候補の条件は以下の6つです.

(1) 選挙がある年の12月31日に25歳以上になることが確定している

(2) 禁錮の刑罰の実刑中でない.

(3) 公職選挙法の違反をし,かつ禁錮以上の刑罰を受けていない.

(4) (3)の違反により禁錮刑にならない場合でも,規定により被選挙権を喪失していない.

(5)「政治資金規正法」により被選挙権を喪失していない


(3) (4)の「公職選挙法」について,どのような場合に
被選挙権がなくなるのかを,詳しく解説します.


(4-a) 精神的に責任能力がないなどの理由から,裁判で無罪の判決を得たことがある場合,被選挙権はありません.

(4-a2) 医師による説明などにより,精神的に衰弱していることが明白である場合,被選挙権はありません.

(4-a3)持病などで選挙までの間に十分に死の可能性がある場合,被選挙権はありません.

(4-b) 選挙事務所や休憩所等などで自分がみだりに宣伝行為を行ったり他人の選挙の妨害をした経験がある場合,その後5年間は被選挙権はありません.

(4-b2) 選挙事務所(選挙活動の拠点)を明確な理由なしに1人2つ以上設立したり,届け出なしに設立した経験がある場合,その後5年間は被選挙権はありません.

(4-b3) 届け出なしに「拡声器」を使用した選挙活動を行ったことがある場合,その後5年間は被選挙権はありません.

(4-b4) 選挙運動,またはその妨害のために自動車を並べたり列を作ったりして公道および歩行者・交通を阻害した経験がある場合,その後5年間は被選挙権はありません.

(4-b5) 当選・落選が確定した後にお礼を言うなどの目的で,選挙に参加した人物を個別に訪問したり,個別に暴言を吐いたり,当選・落選を利用した自分のグッズや署名などを販売したり,広報誌で感謝分を掲載したり,祝賀会を開催したりした,またはそれを受け取った経験がある場合,その後5年間は被選挙権はありません.

(4-c) (4-b)から(4-b5)までの刑罰で罰金ではなく禁錮・懲役の刑罰が当てられた場合,その刑期満了後,5年間にわたって被選挙権はありません.


次に,(5)の「政治資金規正法」について,どのような場合に
被選挙権がなくなるのかを,詳しく解説します.


(5-a1) 政党を作る前に公職選挙法に定める政治活動を行った場合,その後5年間,被選挙権はありません.

(5-a2) 参加者から収入を得てその利益を一部でも政治団体の収入源とする催し( = パーティーと定義する) を政治団体でないものが行った場合,その後5年間,その主催者に被選挙権はありません.

(5-a3) あなたが属する政党で,(5-a2)に示す方法・寄付などで集めた資金を「貯金」「国債の購入」「元金が保証されている投資」に使用したことが発覚した場合,その後5年間,その資金の利用者に被選挙権はありません.

(5-b1) 政党が寄附金を得た場合,その寄附金の提供額・提供者の名前住所,提供してもらった年月日,そしてその提供が許容範囲の額かつ正当な理由があることを会計責任者が記載して提出しなかった場合,その後5年間,会計責任者に被選挙権はありません.

(5-b2) 自分が所属している政治団体でない団体が政治目的として5000万円を超える寄附を受け取った場合はその本人と寄附をした者に被選挙権はありません.また,政治にかかわる前の自分が政治目的で150万円を超える寄附を受け取った場合,その後5年間,自分に被選挙権はありません.

(5-b3) 会計責任者が会計監査に対し説明を拒否したり,虚偽の説明を会計に対して行った場合,その後5年間,会計責任者に被選挙権はありません.

(5-b4) 政治資金監査報告書を含む会計書類のうちいずれかが虚偽の内容であった,または期限内に未提出であった場合,その後5年間,その会計責任者に被選挙権はありません.

(5-b5) (5-a2)に示すパーティーによって政治資金を集めたり利用したりする際,そのパーティーである個人から150万円以上を受け取ったり,ある個人に150万円以上を渡したり,その金銭の目的が政治資金または政治資金集めであることを伝えなかった場合には,その後5年間,その政治資金を受け取った人物と開催した人物について被選挙権はありません.

(5-b6) 寄附をしてもらったことの恩返しをすることを約束して寄附を受け取ったり,寄附をしてほしい団体に圧力をかけて寄附を強引に求めたことがある場合,その後5年間,被選挙権はありません.

(5-b7) 寄附をしてもらったことの恩返しをすることを約束したり,寄附をしてほしい団体に圧力をかけて (5-a2)に示すパーティーに参加させたことがある場合,その後5年間,被選挙権はありません.

(5-b8) 公務員または国・特定地方独立行政法人に努める職員など,特別に罰則が規定されている人物にたいしその禁止行為を要求したことがある場合,その後5年間,被選挙権はありません.


(5-c) 上記の規定に違反し罰金刑・禁固刑の刑罰を受けた場合でも,裁判官は情状酌量によって被選挙権を復帰させることができます.それにより5年かからずに被選挙権が復帰している場合,この限りではありません.



以上が,立候補のための条件です.

ここ1日で条文すべてを読み,すべて展開しました.

ここまで,もし一つも条件に違反していないなら,選挙に立候補することが可能です.


問題点

この法律にはいろいろな問題点があります.

1. 裁判官との癒着が回避できない

裁判官から情状酌量で被選挙権を復帰させることができるため,たとえ選挙のために交通を麻痺させ東京を大混乱させたとしても,選挙に参加できる可能性があります.(志望者が出た場合,公職選挙法・政治資金規正法以外で処罰されるため,情状酌量による被選挙権の復帰はありません)

2. 違法資金の受給者が捕まらない

会計に不備があった場合は会計責任者が捕まります.賄賂は本人を捕まえられますが,団体として不正行為が存在する場合には会計責任者しか逮捕することができません.(団体の指導者を捕まえるためには共謀の証明が必要) さらに,会計責任者は責任者とは別人でも可能であり,会計責任者の同意なく違法資金の提供が可能な点も謎です.

3. 罰金より賄賂額の方が大きい

個人で150万円以上の賄賂を受け取った場合の刑罰は「罰金50万円以下」であり,賄賂を差し引いても利益が発生してしまいます.被選挙権は5年間剥奪されますが,賄賂を政治家から受け取るだけで政治に参加するつもりがない人たちにとって,これではメリットしかありません.実際には禁固刑がありますが,こちらも1年以内と非常に軽微です.
さらに,個人のやりとりの場合は集団犯罪性があり,寄附される側は「罰金刑を回避することによる最大で+100万円のメリット」,政治家サイドは「被選挙権の維持」があり,かつ2人で可能なので漏洩しにくく,互いに事実を黙秘しあうことがとても簡単です.また,政治資金に関しては「政治の目的で受け取る」ことに重きを置いているため,「政治目的ではなく,ただの寄附・贈与である」というだけで回避できてしまいます.

4. 改法側が犯罪者有利な立ち位置にある

このような法律の抜け道はほかにもありますが,この法律で得をするのは「法律改正が可能な」衆議院・参議院などであり,違反がもし行われてしまうと (その人たちにとって) 違反を続行することが最適解になってしまいます.それでは犯罪が減りません.


以上のような問題が,すくなくともざっと見た範囲にはありました.

これらの問題を解決するのはまだまだ先になりそうです.

こんな状態で,新規の若手政治家など現れるのだろうか・・・w


次回は,「選挙に立候補するために必要なもの」について述べたいと思います.

お楽しみに.


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