晩婚化で寿命が伸びる

生物の進化には面白い特徴がある.それは,親の特徴を受け継ぐということである.そして,生物の進化には面白い特徴がある,それは,わずかに突然変異して,親の特徴をなくしてしまうということである.


この,相異なる2つの性質が生み出す面白い特徴として,晩婚化で寿命が伸びるという面白い特徴がある.

人間は,もともと受精卵から生まれる.そして,あるタイミングで脳が作られ,手が作られ,ある程度形ができると内蔵と血管が作られる.生まれてからもある程度すると,身長が急激に伸びる時期があったり,急に男らしい体つきになる時期があったりする.もっと進むと,変声期を迎えたり,初潮を迎えたりなどで,生物としての体が機能し始める.


これはすべて,DNAで決まっている.


ただ,実は,DNAで決まっているのは成長だけではない.なんと,病気もDNAで大きく決まっているのだ.よく,遺伝性の病気とかがあることをご存じだろうか?このような病気というのは,男が~歳で変声期を迎えるとか,それくらい当たり前の要素として,DNAの中に「~歳になったら病気を発現する」という遺伝子が存在しているのだ.


では,ここで面白いシステムを考えてみよう.


Aの夫婦とBの夫婦があったと仮定する.

お互いに,「80歳になると死ぬ」という遺伝子を持っている.

Aの夫婦は,「主に40歳で出産する」,
Bの夫婦は「主に20歳で出産する」という遺伝子を持っている.

さて,これから子供が突然変異して,「~歳で死ぬ」という遺伝子が変化するとしよう.

もし,「30歳で死ぬ」という遺伝子に突然変異したら,どうなるだろうか?


Aさんの子供は,「主に40歳で出産する」の遺伝子を受け継ぐため,30歳になると,出産の前に死んでしまう.

Bさんの子供は,「主に20歳で出産する」の遺伝子を受け継ぐため,出産した後に,死んでしまう.つまり,「30歳で死ぬ」という遺伝子が子供に受け継がれてしまうのだ.



これは,病気でも一緒だ.

Aの夫婦とBの夫婦があったと仮定する.

お互いに,「80歳になると足が動かなくなる」という遺伝子を持っている.

Aの夫婦は,「主に40歳で出産する」,

Bの夫婦は「主に20歳で出産する」という遺伝子を持っている.

さて,これから子供が突然変異して,「~になると足が動かなくなる」という遺伝子が変化するとしよう.

もし,「30歳になると足が動かなくなる」という遺伝子に突然変異したら,どうなるだろうか?

Aさんの子供は,「主に40歳で出産する」の遺伝子を受け継ぐため,30歳になると,出産の前に足が動かなくなる.これが結婚とか社会的地位に影響し,出産にこぎつけない可能性が非常に高くなってしまう

Bさんの子供は,「主に20歳で出産する」の遺伝子を受け継ぐため,出産した後に,死んでしまう.つまり,「30歳になると足が動かなくなる」という遺伝子が,何の不自由もなく子供に受け継がれてしまうのだ.


このように,生物の突然変異は,代々受け継がれる瞬間,子世代が誕生する瞬間に発生する.

そしてそれが出産の後に起こる遺伝子の場合,どれだけ悪い遺伝子でも,絶対に受け継がれてしまうのだ.

我々が「老衰」と呼んでいる,自動的に死んでいく現象は,すべてこれである.

私たちは,遺伝子レベルで,病気になり,苦しんで死ぬことが,確率的にプログラムされているのだ.


そして,それは,出産という遺伝子の受け継ぎが行われるまでの間に存在する場合,自然と消滅する.子世代へ受け継ぐのが難しくなるような,そういった重い病気は,自然と受け継がれないのだ.


これはつまり,晩婚化で,遺伝子を引き継ぐまでの時間を延ばすことで,自然淘汰の中では健康寿命がその時期まで伸びるであろうことが予想される.これが,晩婚化で得られる「寿命」なのだ.



遺伝子は,人を変える.


我々は,もうそれに気づいている.


そんな遺伝子が,目と鼻の先にある.




人はもう,人を変えられる.




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