量子カードゲームの実現不可能性

量子力学というのをご存知ですか?いわば、確率で表され、そのままでは何も確定できないよという

内容が盛り込まれた学問です。この学問をネタにした量子将棋というものが開発されました。

「すべての駒は、すべての駒であり、かつすべての駒でない可能性を持っている」という、恐ろしい将棋です。気になる人はヤフーでググってみてください。

今回はその確定しないという要素をカードゲームに取り込むことにしました。

というか昨晩作っていたカードゲームがまさにそれです。

実は以前に「シャドウバース」というカードゲームをやっていたのですが、新カードパック「ダークネス・エボルヴ」の登場により、相手プレイヤーをコントロールするという概念が非常に増えました。本来トラップカードなどの妨害系のカードは少なかったのですが、少しずつ遊戯王のトランスに近い構成が増えてきているようで、やはりカードゲームをやる身としてはもう持たないかなと思うようになりました。

そこで、じゃあ自分なりにシャドウバースのようなゲームを模倣して、そのついでに

自分が実現してみたかったシステムを導入してみようか、ということで考えだしたのかこの量子カードゲームです。作るのに3日くらいかかりました。

原理的には、カードのステータスに点数を割り振ります。そして効果にも点数を割り振ります。

例えば「攻撃力2」に20ポイント、「召喚時、相手プレイヤーに1ダメージ」という効果に15ポイント、というように割り振るわけです。そして、カードのコストを、このポイントの総計からの比率で表します。つまり

カードを使う前のそのカードは

どんなステータスでもある可能性を持ち、

どんな効果でも発動できる可能性を持ち、

どんなターンでもプレイできる可能性を持つ、そういうカードゲームです。

カードの効果にはシャドウバースで取り入れられていた効果をすべて取り入れ、そのすべてが合体する可能性を与えました。進化のシステムはだるいので導入しませんでしたが・・・

そしてコンピュータに試合でこのカードを召喚すると有利になる、という「カードの価値」を、100試合プレイして判断させました。そこで気が付いたこととして、

この量子カードゲームの一番の問題点は、シナジーがコストとして評価されていないことだということが、発覚してしまいました。


以下に、コンピューターがカードの価値で+500以上をつけた

いわゆる「チートカード」をご紹介します。


評価値 +524

コスト8    攻撃力4/体力1

疾走/このカードは2回攻撃できる。

自分のターン終了時、お互いのリーダーに3ダメージ。


これも見てわかると思うのですが、このカードの効果すべてがシナジーを持っています

デメリットはステータスが貧弱なことなのですが、いわゆる必要ないステータスが弱体化されているということが最も危険であるということを真っ先に教えてくれるカードです。



評価値 +651

コスト6    攻撃力1/体力9

必殺・守護

このカードは効果の対象にならない。

このカードは相手のリーダを攻撃できない。


シャドウバースでの「ソウルグラインダー」に対して、明らかに上位互換になるカードです。

今回は必殺という効果に対してあまり大きいコストを振っていない(スペクターなどの存在から)なのですが、それを考慮してもやはりおかしいです。この場合も、デメリットは攻撃力の低さなのですが、効果で攻撃力を参照する必要がまったくないのでデメリットになっていません

カードゲームのインフレを起こすのは、このようにデメリットを大きく無視できる要因なのではないかと再確認させられました。


評価値 +1167

コスト3  攻撃力1/体力1

疾走

ラストワード/このカードを召喚する。

自分のターン終了時、このカードは消滅する。


これが、コンピュータ曰く最もコストに対しての効果が高いカードだと教えてくれました。

ステータスの低さから、モルディカイと同じ効果を持っていても役に立たず、しかもゴーストと同じ消滅効果があるのでまったく役に立たないだろうと考えられていましたが、そこに疾走がついてしまったことで、いわゆる「3コストでテミスが打てる」というような効果のシナジーが生まれてしまいました。これもデメリットは最後の消滅効果なのですが、まったく機能していません

遊戯王では「無謀な欲張り」でドローした後にすぐ決着をつければデメリットを無視できると言われますが、それと同等レベルのシナジーを1枚でこなしてしまうカードの存在は、

量子カードゲームが実現不可能であることを大きく語ることになりました。


このように、カードの効果にはそれぞれシナジーが存在し、それを考慮しなければ

効果の組み合わせによるゲームの崩壊が起こりかねないと、そういうことです。

そしてその組み合わせは、∀∩[カードの効果の数^合成可能な効果の数]で表され、(今回は7^2*60^4でしたので余裕で1億を超えてしまいました)とてもシナジーを管理することはできません。


カードの効果をデータ上で管理するということは思った以上に難しいことであったということが、

自分なりの実験で分かりました。もしかすると、既に挑戦して失敗した人も

いるのかもしれませんね。暇があればこの内容で論文でも書いてみたいなと思うのですが・・・


もう一度チャンスがあるとしたら、そのシナジーをどうにか弱配列で管理できないか

やってみようかなと思います。やっぱり挑戦は大切ですからね!

それではまた次回!

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