知名度がほしい

知名度は,ほしいです.僕は,ほしいです.みんなはどうか分かりませんが,

みんなも知名度ってほしいと思うことにしています.僕は,よくTwitterで

他人のRTを頻繁にしているんですが,それもけっこう理由があるんです.

誰かが,自分のおかげで知名度上がって,有名になれたりしないかな・・・って.


知名度があると,それだけで便利です.自分の趣味ややりたいこと,なんでも公開するだけで,それなりの評価を得ることになります.いろいろな人からのアドバイスも集中し,実際に上達するのも早く,評価はうなぎ上りになります,一度知名度が手に入れば,人生は圧倒的に進みがよくなるのです.

そして,隠された実力や腕前にも,すぐに気づいてもらえます.新しい活躍の場も手に入ります.

天職を手に入れるために,知名度は間違いなく必要なものです.


エドはるみさんは芸能人として知名度を得て,マラソン選手としても発展し,最終的には大学院まで進学なさったそうです.これは,言うまでもなく知名度の大きな功績でしょう.お笑い芸人の粗品さんも,芸能人として知名度を得てからというもの,ボーカロイドの作曲者として進展することになったそうです.

芸能人だけでなく,私の身近なところで言うと,ピクミン2のRTAプレイヤーであったiid01さんはRiJ(RTA in Japan)の出演に伴って大きく知名度を伸ばし,フォロワー数も激増,ライブ配信の視聴者も1000人を超え,さらには英語漬けという新しい自身の才能までもが評価されるようになっています.

知名度は,重要です.


ただ,知名度には悪い結果をもたらすこともあります.今回はそれを,

ちょっとしたマーケティング用語も使いながら,簡単に述べていきます.

「才能」だとか言ってしまいましたが,素直に「作品」と呼ぶことにしましょう.

いろいろ,自分なりの単語を当てはめてみると面白いかもしれません.


Q. どんな人が作品を見るの?

みなさんは,作品を見る人をどうやって分けているでしょうか?

マーケティングというか,商売における客の知名度に関連する分類では,

プロスペクタ(興味のある人)」「リピーター(常連)」「アドボケイト(支持者)」の

3種類が存在しています.

1. プロスペクタ

要するに,何も知らない人,ということです.その人の作品をたまたま見た,たまたま聞いたという状況で,初めてその作者に出会う人です.無名の作者・新人の作者は,顧客のほとんどがこのプロスペクタから始まります.プロスペクタは作者の情報をいっさい持たないため,作者などの情報にまったく依存しない評価者です.いい方向にも悪い方向にも公平な評価が可能であると言えます.

2. リピーター

要するに,作品を知ってる人,ということです.リピーターは既に作者やその作者の旧作品などに

精通しており,方向性を理解しています.そのため,リピーターは作者を前提とした評価者となります.リピーターは1回以上作品を見ていますが,ほとんどすべての作品を見たり定期的に購入する場合はクライアントとなります.クライアントやリピーターは作品群に一定の保証を必要とし,高すぎる評価・低すぎる評価をしない傾向にあります.作品が大きく変化しない限り,ほとんど悪い評価をしないということです.もちろん「大きな改変」は,たとえそれを良い作品にするために必要な工程だったとしてもマイナス評価に直結します.ただし,その低評価も,プロスペクタの評価に比べて非常にマイルドです.知名度を中程度に手に入れ,リピーターが多くなった場合には,このリピーターの低評価が重なることが一番の問題点になります.そのため,作者は大きな改変をせず,自身のシリーズを積み重ねることが高評価に繋がります.

3.アドボケイト

要するに,"作者" が好きな人,ということです.このレベルになると,もはや作品など見ていません.ただその作者が好きなのであり,作品がどのように変化しようと,非常に高い確率で高評価を行います.アドボケイトは支持者と良く呼ばれ,実際に口コミなどの宣伝などもしますが,マーケティングや商売において,アドボケイトはどちらかというと "犬" のような存在です.



実際の評価分布

さて,ここまでで3つの評価者を紹介しましたが,では

作品が,知名度に従って,どのように評価されるのか

それを二次元図で表現したものが,以下のようになります.



左上は,「無名・新人が作ったものだが,とてつもなく素晴らしい作品

左下は,「無名・新人が作ったもので,失敗作

右上は,「公式・有名人が作ったもので,とてつもなく素晴らしい作品

右下は,「公式・有名人が作ったものだが,失敗作


となっています.少しずつ解説していきましょう.

賞賛される神作品

知名度が高い場合にしか出現しません.知名度に加えて,実際に神作品である場合,ここに含まれます.

素晴らしいのだが見てもらえない作品

知名度が低い場合にしか出現しません.知名度が低く,神作品である場合,ここに含まれます.

アドボケイトが少ないため口コミなども回らず,まさに眠れる宝のような存在です.

"著名作家"が作ったからと賞賛される作品

「アドボケイト」がおよそ5%以上となると,作者が評価されるようになり,ある程度の作品のクオリティがあれば多くの深読みなどが次々発見され,実際に高評価となります.1年も経たずに消えてしまうブームや流行はほとんどこの作品群に相当し,「アドボケイト」の消滅と共にこれらの作品は消滅していきます.

経験量に比例する良作品・平均的な作品

知名度の上昇にともない,「プロスペクタ」よりも「リピーター」の占める割合が徐々に増えていきます.リピーターは悪い評価をほとんどしないので,実際の経験量による実力の上昇よりもさらに高いスピードで作品の評価は上がります.

ブランドや知名度によって擁護される作品

「プロスペクタ」よりも「リピーター」や「アドボケイト」の占める割合が徐々に増えていくと,平均的な作品」というのは消滅します.作者の観点からアドボケイトは高評価,リピーターは悪くない評価に固執するため,実際に平均的な作品である場合には高い評価を得ることになります.また,アドボケイトの割合が非常に高い有名人の枠になると,一部のプロスペクタによる作者に左右されない評価が非常に少数となり,大きな論争,さらには作品を擁する界隈の印象を落とすことになるため,このような作品が出ること自体,望ましいことではないです.

いわゆる「失敗作」

実際に人の目に止まり,失敗作だと言われるものです.基本的には「リピーター」が悪くない評価をするため,知名度の上昇とともに失敗作は減って行きますが,実際には知名度とともに要求されるクオリティが上昇するという問題があります.そのため,図の中央付近ではこの作品群の領域が徐々に上方向に伸びていきます.

しかし,「アドボケイト」は作品にほとんど依存しない高評価をするため,「アドボケイト」の割合が高くなる超有名人になってくると,前述のように"ブランドや知名度によって擁護される作品"になってしまうため,世間的な失敗作は徐々に生まれなくなっていきます.しかし,失敗作は擁護されたり論争を引き起こさずにブームを終えるため,今後の状況を悪化させないというメリットもあります.これこそが知名度が上昇することのデメリットとも言えます.

初心者ならしょうがない作品

知名度が低いことのメリットとして,「過度に期待されない」ことが挙げられます.そのため,ひどい作品,いわゆる失敗作を提供した場合でも,本来より高い評価が得られます.これはプロスペクタの評価に依存するものですが,プロスペクタのほとんどは,自分が良いと感じる場合にのみコメントを残したりいいねをつけたりなどのアクションに走ります.そのため,プロスペクタがほとんどの場合には,このような作品群が生まれるわけです.「リピーター」の上昇に伴い,リピーターの小さな低評価が積もることで,この作品群は知名度と共に消滅します.

許されない作品

知名度の高さは,ある程度のクオリティを保証することにもつながります.その保証されるラインより上であれば,擁護され,論争はあれど守られるのが作品です.それを上回る本当にひどい作品,それが「許されない作品」と呼ばれる作品群です.

これらの作品は,「アドボケイト」による異常な高評価をもってしても平均評価が下になってしまいます.すると,「アドボケイト」は自然淘汰され,非難され,アドボケイトは「サクラ」と同様な扱いを受けます.アドボケイトの消滅に伴い,知名度及び信頼が失墜します.いわゆる,「社会的に終わった状況」が生み出されてしまうわけです.

知名度がある程度上昇すると,アドボケイトの人数が頭打ちになり,リピーターやプロスペクタの割合がまたしても上昇します.これにより,あまりに知名度が高くなった状態の場合,失敗作は「アドボケイトに擁護されるか,擁護もできず"許されない作品"となるか」の二択が迫られるわけです.



このように,作品が良いか悪いか,知名度があるかないかによって,

作品がどう見られるか」は非常に変化していきます.

知名度の上昇とともに,もちろん求められるクオリティこそ高くはなるのですが,

それ以上に素晴らしい作品がしっかり賞賛されることが大きなメリットです.

知ってもらえなければ,
どんなにすごい作品も,
どんなにすごいゲームも,
どんなにすごいスポーツ選手も,
ただのガラクタのように扱われてしまいます.


それは・・・やはり,イヤですよね.私は,イヤです.

失敗作だと言われる割合が例え大きくなったとしても,自分の

最高の作品が賞賛されるなら,それは十分に無視できるデメリットです.


自分のRTひとつ,自分のいいねひとつ,自分のブックマークひとつ・・・

自分の高評価ひとつ,自分のコメントひとつ,自分のスパチャひとつ・・・

それらが全て,誰かの知名度を高め,誰かの最高傑作を世に送り出すためのものだと思うと,

そんなに嬉しいことって,ないんじゃないでしょうか.



僕はそう思って,Twitterで毎日誰かのツイートをRTしています.

みなさんもたまには,「フォロワーのRTを表示する」をONにして,
Twitterのタイムラインを見てくださると嬉しいです.


そこから始まる,誰かの一つの伝説のために。


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