数学の発明と日本文化センター
日本文化センターの電話番号を調べていると,どうしても0と1と2だけで作られていることに目が行ってしまいます.それはしょうがないことなのでしょうか?
0と1と2,それは,私が数学の中でもっともすごいと思っている3つの発明です.
0のおかげで,「起点」が示せた.
1のおかげで,「それ自身」が示せた.
2のおかげで,「数」が示せた.
負の数や虚数の発明も素晴らしいものではありますが,今日はこの
0と1と2について語って行きたいと思います.
説明の順番的に・・・1から話していこうかな.
1の意味
1とは何か.1には本当にたくさんの意味があります.1が示すほとんどの意味は,
「それ自身」という意味です.他のものを排除した,ある一つのものを示します.
なにかが一つある,と言った場合,その「物がひとつ」という意味よりも,「それしかない,唯一無二」という意味合いのほうが強いです.
文字で表す「1」も,非常に簡単な記号が当てられています,アラビア数字の1は縦棒ですし,
漢字の「一」も横棒ひとつと,本当に単純な作りです.
「1」は,それだけ頻繁に使用していたのかもしれません.
数字としての「1」の役割も,とてつもなく大きいものです.
何に1を掛けても変わらない,何を1で割っても変わらない,
何を1乗しても変わらないし,1を何乗しても1です.
「それ自身」という意味は,数学においても変わらないものです.
2が誕生してから0が誕生するまでの間,1は「起点」の役割も持っていました.
暦が1月1日から始まっているのも,これに強く依存します,当時,0なんてものは
なく,1からすべては始まっていたので,いまだに0月なんてものはありません.
2の意味
1だけでは表せないものが登場し,「2」が誕生したことも
素晴らしい発明だったと私は考えています.
「2」が登場したことで,1は「始まり」という意味を新たに獲得することになります.
1や2の起源は明らかになっていませんが,それはまさに,そのくらい「日常的だった」ということに他なりません.どこにいっても必要だったのです.
そして,2を作ったことにより,ただ「それ自身」という意味ではなく,
「数」について詳しく言及することができるようになりました.連続性が生まれたのです.
1に2が続くことで,その連続した中の,どこかにそれを示すものが生まれたのです.
「数」という概念を作りだした「2」は,人間の素晴らしい発明の一つと言えるでしょう.
数学のなかでも,2は大事な数になっています.
素数の中では唯一の偶数でもあるし,最小の偶数でもあります.
面積を表現しない最小の頂点数でもあり,
メルセンヌ数の定義にも使われる大事な数です.
今日ではbitと言えば0か1の2個を表現しますし,2はその意味でも大事な数になりました.
知らないかもしれませんが,2は最小のソフィージェルマン数でもあります.
2は,バランスを取るためにも生まれました.「組み合わせ」です.
100と100を掛けると10000になるように,掛け算によって,一気に数字は巨大になります.
小さな2つのものを組み合わせることで,凄まじい多様性を表現することができるようになったのです.
耳が二つ付くことで,音楽は左右のバランスに依存するようになり進化しました.
目が二つ付くことで,距離を理解するようになり,様々な運動も可能になりました.
男女という2つの存在が生まれることで,子供が持つ可能性は組合せ的に爆発したとも言えます.
・・・ただし,2は多様性に加えて「選ぶ」ことも意味するようになりました.
「二者択一」という言葉があるように,2つのものから一つの「それ自身」を選ぶためには,
それ自身でないものが生まれるのです.
例えば,人間は目が2つ付くことで「矛盾からそれ自身を選ぶ」ようになりました.
いわゆる「錯覚」というものです.みなさんは,へリング錯視を見たことはありますか?
線が曲がって見えてしまう,というものです.
まっすぐな線が,どうして曲がって見えてしまうのか.それがまさに,
「矛盾からそれ自身を選ぶ」ということです.
人間の脳は,この画像を見たときに,矛盾したデータを受け取ります.
こんなの,3次元でできるワケない,どっちかが間違っているんだ,って感じです.
そして,「線はまっすぐだ」というデータを,捨ててしまうんです.だから,
その線は曲がって見えてしまう.
染色体だって,同じです.男女の中から,素晴らしい人間が生まれる
可能性を作りだした「可能性」は,同時に生存価値のない人間が生まれる「可能性」を
生み出してしまいました.
遺伝の影響で生涯アレルギーと戦う人,生まれながらにして死んでしまう赤ちゃん,
なんの罪もなく,障害と戦って生きていかなければならない Challenged の方々.
「組み合わせ」が生まれ,「選ぶ」ことで淘汰される,それこそが,
「2」の生み出した最大の長所にして,最大の欠点なのです.
0の意味
そんな中,もっとも誕生が遅れたのは「0」です.ゼロ.
何もないこと.ないことを示す言葉が,ある.それは,0のおかしなところであり,
0が生まれるのが遅かった理由でもあります.
かつてより,10個で物をまとめて,その束の個数を数える,などの方法で大きな数を数える方法がありました.ですが,その10個のかたまりがないような小さい数を表すときはどうでしょうか?
かつての人物はそんなとき,「ない」と答えていました.だから,0は要らなかったんです.
「足せば大きくなる」という発想を疑わなかった古代において,0は仮にあったとしても数字として
受け入れられることはありませんでした.
0が必要な例として,11と101を区別する必要があると思いますが,みなさんはこの数字をどう
発音するでしょうか?私は,「十一」「百一」と発音します.そう,0なんてないのです.
文字として書き記す段階にならないと,0の必要性には気が付けないのも,大きな問題でした.
0にはいろいろな起源があります.私がもっとも信じている仮説は,桁を〇で囲んで計算を
しているときに,何も数字が掛かれていない場所がそのまま
〇→ 0 として通じていった,というものです.
他にも,インドで空白を示した「黒点」の記号がそのまま0になったという説や,
桁を表現するときに間に挟んでいた棒(現在のアンダーバーのようなもの)が
0へと発展したという仮説もあります.どれも面白いものばかりです.
0は,ついに「起点」を表せるようになりました.0個,0時0分0秒
,0℃,0点・・・・かつて,1が「起点」だと思われていたものは,0によって
覆っていきました.なので,昔から変わっていないものは,1から始まるものが多いです.
例えば,1日,1月,1位など・・・・暦や順位というのは,古来より問われて
来たものだと言うことが,このあたりからも少しずつ読み取れます.
0の登場によって,プログラムが発達したことも忘れられません.存在しないものの個数を聞かれた時に,「0」という回答が生まれたことで,よりシンプルになったのです.
0を「起点」としたことにより,起点よりさらに下のものが見つかると「マイナス」が生まれたりもしました.これも,0の功績であるといえるでしょう.0は,とても偉大です.
0,1,2,・・・私たちが普通に数えているこれらの数字は,
まさに歴史の御蔭とも言えると思います.
これらがもし生まれていなかったらと思うと,私はとても怖いです.
0に至っては,(知っている人は少ないかもしれませんが)
「0を口にすると処刑される宗教」なんてのも昔は存在しており,
「0」が生まれるのをさらに遅くしていました.
こんなに素晴らしい0と1と2だけをふんだんに使った
素晴らしい電話番号を使っている場所があるんです.
"日本文化センター"
って言うんですけど・・・・
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